システム
パラノイア【トラブルシューターズ】
プレイヤー人数
3〜6人
作者
公開日
2006-04-01
市民たちがいつもの通り、幸福に生活していると突然ミッションの召集がかかります。 今回のミッションは旧世界の祭りを再現したビデオを作成すること。完成したビデオはアルファコンプレックス中に放送され、市民たちにより幸福な娯楽を提供することになります。 もちろん、このミッションに危険は一切存在しません。快適で楽しく、また非常に興味深い経験をもたらしてくれるでしょう。間違いありません。コンピュータがそう言っています。疑うのですか?
このシナリオはパラノイア【トラブルシューターズ】の標準的なシナリオです。プレイスタイルは「クラシック」をお勧めします。
推奨するプレイヤー人数は3~6人です。4人でプレイした場合、キャラメイクを除いて、3~4時間くらいかかるでしょう(オフラインの場合)。
なお、パラノイアの他のシナリオ同様、このシナリオもナンセンスなジョークの塊なので、MBDテストなどの一部分だけを他のシナリオに流用したり、逆に他のシナリオの部分をこのシナリオに加えたりすることも簡単にできます。
CAUTION ! UV ONLY ! !
この文書はセキュリティクリアランスがUVの市民にのみ、閲覧が認められています。 もし市民がUVクリアランスをお持ちでないなら、ただちに自らを略式の処刑に処した後に速やかに退去し、処刑報告書をコンピュータに提出してください。 市民のご協力に感謝します。
今回のミッションは、旧世界の祭り『セツブン』を再現したビデオを作成することです。UVたちは、(主に暇つぶしの理由で)この祭りをアルファコンプレックスに普及させようとしています。そのためにデモンストレーション用のビデオが必要となり、PCたちにその作成を依頼します(そういう理由なので、完成したビデオはアルファコンプレックス中に放送されます)。
しかしながら、いつものことですがUVたちはこのセツブンなる祭りがどのようなものかまったく知りません。そのため、PCたちはまず祭りについての情報を集めなければなりません。 情報は複数の市民がそれぞれ断片的に持っていて、時には互いにそれらが矛盾していることさえあります。PCたちはそれらの情報を繋ぎ合わせて、祭りの全体像を把握する必要があります。
情報が揃ったら、ようやくビデオの撮影に入ります。PCたちは、監督・カメラ・役者・ナレーション、全てを自分たちでこなさねばなりません。
すべてのシーンの撮影が終わったらミッションは終了です。UVに成果を報告し、その出来に応じた制裁を受けます。
このシナリオは、プレイヤー3~6人を対象としています。お勧め人数は4人ですが、多い分にはほとんど問題ありません。しかし、人数が少ない場合はMBDや秘密結社の種類を削るなどの工夫が必要になるでしょう。
プレイスタイルについては「クラシック」を想定していますが、「ザップ」で遊ぶ分には大きな変更は必要ないと思われます。反面、題材のバカバカしさから「ストレート」で遊ぶ事はお勧めできません。
なお、このシナリオはパラノイア【トラブルシューターズ】のシナリオですが、判定のスキル/基準値についてはあまり触れていないため、他のエディションでも問題なくプレイできるはずです。また、各オプションルールの採用・不採用によってセッションの進行が左右されることはないでしょうから、GMの好みに合わせて決めてください。
特になし。PCたちがどうしても欲しがるようなら、レーザー銃をお見舞いしてやってください。
以下の項目では、このミッションにふさわしい市民の作成方法について記述します。
このシナリオでは、基本的に自由に市民を作成してもらってかまいません。しかし、秘密結社とミュータントパワーは以下のリストから選択すると、より面白くなるかもしれません。なお、プレイヤーが4人でない場合は、適宜調整してください。
ロマンティクス
プロ・テック
コミュニスト
フリーエンタープライズ
超雑食(Matter eater)
念動力(Telekinesis)
力場(Energy field)
変身(Polymorphism)
以下の項目では、シナリオの内容を時系列に沿って書いていきます。 しかしゲームの性質上、これはプレイ時点では箇条書きになっていた“ネタ”の羅列を、私がプレイした時の経験を元に加筆して掲載用に体裁を整えたものなので、実際のプレイがこのシナリオ通りの展開にならなくても、なんら気にする必要はありません。
ここでは、PCたちに召集がかかってからブリーフィングルームに集まり、ミッションについての説明を受けるところまでについて取り扱います。
GMは適当に日常部分を描写した後(プレイヤーに初心者がいて、時間に余裕がある場合はこの部分を長く取って、パラノイアの世界観を理解してもらえるようなイベントを入れるといいでしょう)、おごそかに以下の文章を読み上げます。
親愛なる市民に連絡いたします。 (PC全員の名前)、ブリーフィングの召集がかかりました。 30分以内にWBCセクターにあるブリーフィングルームまでお越しください。 市民の献身的な奉仕に感謝します。
後は、PCたちが慌てふためくのを眺めていればいいでしょう。 参考までに、以下に私がここで使ったギミックを紹介します。
所要時間
スーパーテレポーテーションシステム
超高速リニアモーターカー
PCがブリーフィングルームに入るとそこにはUVが1人います。彼は退屈そうにテレビを見ていますが、PCたちが全員揃うと高圧的な態度でミッションの説明を始めます。 と言っても、PCたちが質問しなければ、「祭りのビデオを撮るように」ということしか伝えません。質問されると、しぶしぶ以下の情報を与えてくれます。
PCたちが一通り聞きたいことを聞いたら、UVはMBDテストに移ります。 UVは、今回のミッションでは正規のMBDテストではなく、新規開発した簡易MBDテストを使用します。これは実施者の出す質問に口頭で答えるだけで各PCの適正がわかるという優れものです(少なくとも、彼はそう主張します)。 質問は以下の通りです。
健全なる市民である皆さんの前に、コミーなミュータントと、ただのコミーと、ただのミュータントが現れました。 あなたはどれから処刑する?
GMは速い者順で答えさせ、その答えに応じて適当な役柄を割り振ってください。なお、このミッションでは『チームリーダー』『レコーディングオフィサー』『エクイップメントガイ』『ハピネスオフィサー』(PCが4人の場合)がいると面白い展開になりやすいでしょう。
以下に私がここで使った屁理屈を紹介します。参考にしてください。
最初に答えた場合
ただのミュータントを選んだ場合
最後に残ったものを答えた場合
どれも選べなかった場合
一通りの役職が決まったら、UVはPCたちにR&Dに向かい試用段階のアイテムを受け取りに行くように指示します。ミッションは R&Dの新製品のテストを兼ねているので、PCたちは受け取ったアイテムについてミッション後にレポートを提出しなければならないのですが、その事については聞かれなければ特に言いません。 そこまで説明するとUVは、自分の仕事はもう終わったと言わんばかりにテレビ鑑賞に戻ります。
この項目では、R&Dで受け取る装備品についてと、撮影のための情報収集パートについて取り扱います。
ここでは、このミッションで行われる新製品テストの対象となる装備品が支給されます。PCたちはこれらの装備品を実際に使って、その用途と使い心地についてのレポートを作成しなければなりません(それらのレポートは当然コンピュータに提出されます)。 もちろん、壊したり失くしたりすることは論外です。
今回支給されるのは以下の装備品です。GMは、面倒だったらこのアイテムの説明をそのまま読み上げてもいいでしょう(もちろん、for GMのところ以外)。 なお、一見使い道のないように見えるものも多いですが、PCがそう指摘するようなら、コンピュータがこのミッションに必要だと思うものをピックアップしているのだと言うことをPCに強調しておきましょう。
クラッパーボード
コンパス
電気靴下
コミーアナライジングシステム(CASys:カシス)
(番外編) 超減反動バズーカ
R&Dで装備品を受け取ったら、いよいよビデオのための情報収集を始めることになります。 なお、情報提供者は全部で5人で、それぞれが別の場所にいます(提供者は全員、Bクリアランスです)。以下に、それぞれの持つ情報を示します。PCたちはこれらの断片的な情報を全部取り込んだ完璧なビデオを撮影しなければなりません。
情報提供者1
情報提供者2
情報提供者3
情報提供者4
情報提供者5
GMは、PCがこれらの情報を持つ市民の元にたどり着くまでの道中で適当な波乱を巻き起こすといいでしょう(私の場合、最初のブリーフィングルームに行く時に使った、スーパーテレポーテーションシステムが好評だったので、提供者の何人かはひどく離れたところにいることにしました)。 また、キャラクターメイクの時に決めた秘密結社からの命令を受け取るのも、このタイミングです。GMはPCをそれぞれ別室に呼び出したりメモを渡したりして、彼らに指令を与えましょう。
実際のところ、このパートについては特に記述すべきことはありません。ここまで来たら、GMはPCが様々な(無駄な)工夫を凝らすのを笑って見ていて、彼らがGMに質問をした時にだけ少し頭を働かせて、より自体が混乱する回答を渡してください。
最後に1つだけ。パラノイアはそのあまりの面白さから、ミッションを終了させるタイミングが難しいのですが、今回は、プレイヤーたちが楽しんでいるようなら単純にビデオを撮り終わるまでプレイしてかまわないでしょう。PCのクローンナンバーがなくなったなどの理由で退屈そうにしている人が出てきたり、そうでなくてもだれてきているな、とGMが感じたなら、その段階で以下の文章を読み上げてミッションを終了させましょう。
『市民に連絡いたします。(PC全員の名前)にデブリーフィングの召集がかかりました。直ちにWBCセクターのブリーフィングルームまでお戻りください。ご協力に感謝します』
このパートも『3-3.撮影』と同様に、GMはUVの立場として、PCたちの言い訳を鷹揚に構えて聞いていればかまいません。ただ違うのは、威圧的な態度で重箱の隅をつついたりすること(何か失敗があったら、必ずそれが誰の責任か追及してください。なに、怪しいのが複数いたら、全員処刑すればいいのです)と、ちょっとでもPCが不自然な態度をとったら、ためらわずにレーザーガンのトリガーを引くことです。
一通りの処刑が終わったら、ミッションの本筋は終了です。 もし、秘密結社の任務を無事にこなせたPCがいたなら、通り一遍な賞賛の声をかけてあげましょう。
最後にデブリーフィングで、UVが言いがかりをつけやすい点をあげておきます。
私は、パラノイアは『くだらないジョークをつまみに馬鹿騒ぎをするゲーム』だと考えているので、このシナリオでは、判定については記載を控えました。その部分については、各GMがプレイヤーたちのノリを見ながら調整してください。きっとその方が面白いと思います。 その代わりと言ってはなんですが、自分がプレイした時の実例を元に、ところどころ運用のヒントを織り込んでもみました。それが各GMの参考になれば幸いです。
初めてパラノイアをするのにマスターをする羽目になった可哀想な人で、これを読んでもどうプレイしたらいいのか、いまいちピンと来ない場合は、『ひきだしの中身』さんにプレイの時の雰囲気をよく伝えたリプレイがあるので(2ndのルールっぽいですが)、参考にしてみてはどうでしょう?